JPBM第27回全国統一研修会PartT第1・2部 報告
2012年7月19日(木)に第27回全国統一研修会PartTが福島県飯坂町「吉川屋」にて開催されました。
第1部ではテーマ別コンサルティングの最前線事例として、クライアントから高い信頼を得ている、
いわば「キラーコンテンツ」(経営コンサルティング、中小企業M&A支援、不動産支援)をお持ちの会員にご登壇いただき、
各テーマにおけるコンサルティング実務事例を紹介いただきながら、分野を横断しながらコンサルティングの本質を探り、
新たなコンサルの切り口や付加価値が検討されました。
第2部では医業経営支援を実践する先端の専門家である松田氏が、医療法人の事業承継について、
みなし贈与税を受けない非課税移行を前提にその基本的な準備の内容、更に応急的な実務対応等が示されました。
また、緊急講演として平成24年度における中小企業庁支援施策の柱として期待されている「中小企業経営力強化支援法(案)」に関して、
中小企業庁経営支援部の林氏にお越しいただき、金融円滑化法の期限切れを踏まえながら、今回本法案が提出された時代背景、
本法案の最大の狙い・ポイント、手続きの概要は何か等が解説されました。



PartT第1部「中小企業支援の先端事例とコンサルティングの本質」
          〜パネルディスカッション(抜粋)〜

■コーディネーター JPBM会員 税理士 塩見哲(理事)
77%は赤字企業、このままでは専門家の仕事もなくなり、日本国の衰退にもつながる。今回福島の地を大会の場に選ばれたことは重要なこと。
残念ながら参加者が例年より少ないが、こういう時こそ専門家が集結するべき。
個人の意識の3割が変われば社会の善が変わる。それはほぼ50年周期。1995年に変革期が来て、昨年あたりで大きな曲り角を曲がり終えた。
この15年で人の意識がどう変わったか見るべき。万人にとって正解のない時代になった。企業にとってみればお客様がその正解を持つ。
今までのコンサルティングは代行型。これからは戦略型・提案型コンサルに行かざるを得ない。お客様の本当の意識を引っ張り上げて、どう定案するか。
つまり問題発見型。コンサルティングの本質論が変わってしまった。営業は「これができます。これをやります」といったコア商品の主張が重要。
これはマーケティングにかかわる。


■パネリスト JPBM会員 公認会計士・税理士 黒崎宏(理事 成長支援委員会委員長)「会計事務所が行う経営コンサルティング事例」
中国企業のインバウンド支援を行っている。この着眼点は何か。中国の日本進出企業に日本の正しい税法を理解してもらい、
ルール作りをしっかりすることで、日本経済や企業の発展に貢献できるのではないかと考えた。きっかけとして、
以前大阪府の官制で「元気出せ大阪ファンド」を300億で立ち上げ、その時弁護士と一緒に調整役として支援活動をしていた。
その後日本企業が更に疲弊し、海外資本を入れないと運営が困難になった。その折中国企業が日本に入り込む際、日本が世界一普及している論語の精神と、
「そろばん」の精神を原点として、両方をミックスした経営管理会計の導入支援をしている。これらを中国企業に学んでいただくことが、
日本の知的財産を守りかつ、これ以上の日本企業の衰退を食い止める一助になればと思っている。


■パネリスト JPBM会員 弁護士 金子博人「中小企業のM&Aコンサルティング」

今黒崎先生から中国関係の話題がでたので、最近のトピックスからお話しする。中国の大手法律事務所との提携が進んでいるが、
話を聞くと中国企業の狙いは、日本の中小企業のパテントやノウハウを買って、海外のマーケットに「メイドインジャパン」ブランドとして売り込みたい、
ということ。日本企業が一番弱いところを彼らは資金力にまかせて躊躇なく行おうとしている。
現在中小企業のM&Aの潜在需要は極めて大きい。ただ、専門家が対応しきれていない。この潜在ニーズの背景にある問題点として(1)後継者難の問題
(2)マーケットの縮小、先細りの問題、がある。解決策の一つとして合理的売却が重要と考える。最終的に民事再生等があるにしても、
その前のスキーム作りやリスク排除等、M&Aは広く多様な方法があり得る。経営者自体がどうしていいかわかっていないし、
近くの専門家もアドバイスできていない。また日本のM&A制度自体が未熟である。企業売買という大きな取引分野であってもライセンスがいらない。
監督官庁もない。また一つのコンサルタント会社が売買双方の企業に対応している。これはあきらかに利益相反。
理解と経験を積んだ専門家のサポートが益々必要な分野だ。


■パネリスト JPBM会員 税理士 石垣雄一郎「戦略的不動産コンサルティング事例」

先ほどの95年変革期との話の流れで、上場企業ではそのころより、ROA,ROE経営指標、有利子負債削減、自己資本比率の向上等が出始めた。
今は当たり前に中期計画の中にでてくる。例えばアメリカでは遊休地、低稼働の土地等があれば株主訴訟の要因にもなってくる。
資産勘定が常に利益を出しているかB/Sを意識するのが当然となる。日本ではあまりされていない。特に個人で気づいていない。
例えば、B/Sの貸方で、未払い相続税や大修繕や建て替え費用等は債務でありいずれキャッシュアウトされる。
数値化により常に「見える化」する必要あり。最近の事例でいうと、工場を取得かレンタルかで探したいといった相談があり、
各専門家や企業と連携し進めている。前提として、投資し収益化するための事業計画が不可欠となる。不動産投資は経営計画に入っていかざるを得ないし、
直結している。CRE戦略そのものである。
土地の活用は多種多様であり、専門家はいかにお客様が判断できるように、提案する選択肢を数多く持つかが重要であり、
リスクも含めてその「見える化」が必要である。


統一研修会PartT第二部「医業経営コンサルティングの在り方と展開事例」(抜粋)
JPBM医業経営部会部会長 公認会計士 松田紘一郎



出資持分ありの医療法人ができたとき、理事長が余命宣告を受けた場合、どう対処するか。
純資産10億で持分のある息子B、Cがいる。そのままにするとB、Cに2.4億のみなし贈与税がかかる。
また持分放棄し持分なし法人に移行したとき、医療法人甲がみなし贈与税を払う場合も5億円税金がかかる。
コンサルティングとして応急法の対処をほどこさないといけない。「上に政策あれば下に対策あり」ただし法律は遵守。
重要な前提は税による社外流出を避けること。また税務署と事前相談しながら、政省令、通達等を活用すること。
実務上のポイントは定款改正の準備と要件整備期限のチェック等になる。


統一研修会partT緊急講演「中小企業支援業務の専門家認定と求められる専門家の役割」(抜粋)
中小企業庁経営支援部小規模企業政策室長 林 揚哲



中小企業経営力強化支援法が8月末に施行される。中小企業420万社のうち360万社は20人以下の中小零細企業である。
いままでは記帳業務や税務、労務管理が主な支援業務だったが、現在、多様化・複雑化が進み撤退や事業承継、M&A、
海外展開等、現状相談業務を担っていた商工会や商工会議所等では対応できない事案が増えている。
専門家によるレイヤーの厚みを増そうということが、今回の政策の背景にある。更に金融円滑化法への対応の問題がある。
同法のポイントは金融機関の債務者区分の凍結にある。それが延長なしとなれば貸し渋りや貸しはがしにつながる。
その防波堤になるのが黒字の実現性の高い事業計画、つまり実抜計画(実現性の高い抜本的な経営計画)の提出になる。
今回プロフェッショナルの方々が支援機関として認定されることで、実抜計画、合実計画策定を支援しながら専門性を発揮して
もらう仕組みを作ってきた。あらたな担い手として、税理士、弁護士、公認会計士、中小企業診断士等に期待している。

[ 戻る ]